天然サプリと合成の違いって知ってる?葉酸サプリのウソ本当を専門家が教えます

妊娠してから葉酸サプリを摂ると良いとよく聞きますよね。その葉酸サプリには天然と合成があるのをご存知ですか?妊活、妊娠中は特に食べ物やサプリに気を遣います。葉酸サプリの天然と合成の違いを知ったうえで飲むのが安心ですよね。そこで今回は「天然」と「合成」葉酸サプリの違いをご紹介します。

1:葉酸サプリの「天然」とはどんなもの?

妊活中や妊娠初期に特に重要になる葉酸。葉酸には天然型のものと合成型のものがあります。葉酸サプリメントにおける天然のものとは「植物や動物から抽出した」もののことを指します。葉酸自体はホウレン草や菜の花、モロヘイヤなど緑色の濃い葉物野菜や牛や豚、鳥のレバーに豊富に含まれています。そういった自然の食品から抽出したものが天然葉酸です。天然葉酸は葉酸だけを抽出するのではなく、それぞれの食品に含まれている栄養素も一緒に抽出することができます。例えばホウレン草ならば葉酸だけではなくβカロテンや鉄分、菜の花ならばビタミンCやカルシウムといった栄養素も抽出することが可能です。

天然型の葉酸は別名「ポリグルタミン酸型葉酸」とも呼ばれます。ポリグルタミン酸とは複数のグルタミン酸が結合していることを指します。先に述べたホウレン草や菜の花、動物のレバーなどに含まれている葉酸がほぼすべてがポリグルタミン酸型葉酸の構造をしています。ポリグルタミン酸型葉酸は熱や胃酸、食品の調理・加工の過程で活性が失われて行ってしまうという特徴があります。ポリグルタミン酸型葉酸は体内での有効利用率が50%ほどとも言われています。

2:葉酸サプリの「合成」とはどんなもの?

天然の葉酸がホウレン草や菜の花、動物のレバーなどの食品から摂取したり抽出されたりするのに対して合成の葉酸は化学的に合成されたり工業的に大量生産されたりしたものになります。葉酸を合成する方法には石油を原料として化学合成する方法と酵母などを利用して発酵により作り出す方法があります。合成の栄養素と聞くと安全性などに不安を感じてしまうこともありますが、どの方法で製造されたとしても葉酸は葉酸の構造をしているため安全性には問題ありません。また工業的に大量合成できる手段のため製造コストが控えめで継続しやすい価格設定にすることができるというメリットも存在します。ただし別に含有させないと天然の葉酸のようにそのほかの成分は含まれません。

合成型の葉酸は別名「プテロイルモノグルタミン酸」とも呼ばれます。天然型の葉酸が複数のグルタミン酸が結合しているのに対して、単一のグルタミン酸と結合している構造をしています。プテロイルモノグルタミン酸は天然型の葉酸とは異なり、あまり活性が失われません。体内での有効利用率は85%ほどとも言われており、天然のものよりも効率的に葉酸を摂取することができます。厚生労働省では妊活中や妊娠の可能性がある女性に対してプテロイルモノグルタミン酸を1日に400μg摂取することを推奨しています。

3:天然葉酸サプリのメリット・デメリットとは?

天然型の葉酸サプリに含まれている葉酸はポリグルタミン酸型の葉酸であるため体内での利用率自体は合成型の葉酸よりも低くなります。しかし天然型のサプリメントには天然型のサプリメント独自のメリットもあります。

・過剰摂取になりにくい

厚生労働省では18歳から49歳までの女性に対して1日あたり240μgの葉酸の摂取を推奨しています。さらに妊活中や妊娠の可能性のある女性に対しては+400μgのプテロイルモノグルタミン酸の摂取を推奨しています。しかし葉酸は過剰摂取により過剰症が発生する可能性のある栄養素であるため、耐用上限量(習慣的に摂取しても健康被害の危険がないであろう数値)が設定されています。18歳から29歳の女性の葉酸の耐用上限量はプテロイルモノグルタミン酸換算で900μg、30歳から49歳の女性の耐用上限量は1000μgです。これらの数値はすべてプテロイルモノグルタミン酸換算であるため天然型のポリグルタミン酸型葉酸の場合、数値が2倍に換算されます。そのため過剰摂取になりづらく、過剰症の心配が少ないことがメリットです。

・アレルギーやアトピーの危険性が少ない

天然型のサプリメントは天然の食品中に含まれている栄養素を抽出することで製造されます。天然の原料を使用しているためアレルギーやアトピーの原因となりづらいことがメリットの一つです。

しかし一方で天然ゆえのデメリットも存在します。

・価格が比較的高い傾向にある

天然の葉酸サプリメントは天然の食品から抽出を行うため、大量に製造することができません。そのため製造コストが高く、価格帯が比較的高い傾向にあります。葉酸は妊活中から授乳期が終わるまで通常の状態より多く必要になります。価格が高いとなかなか長期間続けづらくなってしまうのはデメリットの一つです。

・粒が大きめ

天然型の葉酸を使用しているサプリメントは葉酸だけではなく、そのほかの成分や成分同士を固めるための添加物を使用する必要があるため粒が大きめになりがちです。妊娠中はつわりの影響でものを飲み込みづらくなってしまうため、粒が大きいと継続をしづらくなってしまいます。

4:合成サプリのメリット・デメリットとは?

合成型のサプリメントは天然サプリメントよりも体内での利用率が高いことが特徴です。そのほかの合成型のメリットには以下のようなものがあります。

・価格が安定してお手頃

葉酸を化学合成したり酵母による発酵で製造したりする方法は天然の原料から抽出する方法よりも大量に製造することができるため、安価になる傾向になります。

・粒が小さいものが多く飲みやすい

合成型のサプリメントの場合、必要な成分のみを成型して製造することができるため粒が小さくなる傾向にあります。そのため天然型のものよりも飲みやすい場合が多いです。

・厚生労働省の推奨を簡単に満たすことができる

妊活中や妊娠の可能性がある女性に対する厚生労働省の葉酸の摂取推奨量はプテロイルモノグルタミン酸換算で表記されています。天然型のポリグルタミン酸型葉酸だと有効利用率が低いため必要量が2倍になります。合成型の葉酸サプリメントを利用することで推奨量を簡単に満たすことができます。

しかし合成型の葉酸サプリメントにもデメリットはあります。

・過剰摂取になりやすい

葉酸は過剰摂取による過剰症が存在する栄養素です。葉酸を過剰摂取した場合の症状としては亜鉛の吸収率の低下や吐き気、食欲不振、不眠症などが挙げられます合成型の葉酸サプリメントは粒も小さく価格も安価な傾向にあるため、ついつい1日の摂取量を超えて飲んでしまいがちです。その分過剰症になりやすいと言えるでしょう。

・子供にぜんそくが発生する可能性がある

妊娠中は十分な葉酸の摂取が重要ですが、妊娠後期の葉酸の耐用上限量である1000μgを超える摂取が習慣的になると胎内の子供に過剰症が現れる可能性があります。妊娠後期に耐用上限量を超える摂取が続く場合小児ぜんそくのリスクが25%増すというデータも存在しているため、摂取量は守る必要があります。

5:葉酸サプリの「天然」と「合成」の見分け方

それでは葉酸サプリメントの天然と合成はどのように見分けたら良いのでしょうか?最も簡単な見分け方はサプリメントのラベルに記載されている「原材料表示」を確認することです。加工食品にはどんな原材料をもとに製造されているかということを表示することが義務付けられています。サプリメントは分類としては加工食品に含まれるため、どんな商品にも原材料が表示されているはずです。

原材料表示の中に「ホウレン草」「モロヘイヤ」「パセリ」などの天然の食品名が記載されている場合は天然型のサプリメント、「葉酸」のように成分名が直接記載されている場合は合成型のサプリメントでしょう。ただしサプリメントには天然の材料と合成の素材を一緒に利用して製造しているものもあることには注意が必要です。

6:葉酸サプリは飲みすぎても問題ないの?

葉酸の1日の摂取量には「耐用上限量」が設定されています。耐用上限量はその量を習慣的に摂取しても健康被害の危険がないであろう摂取量のことを指します。もし葉酸を耐用上限量を超えて継続的に摂取してしまうと思わぬ健康被害が現れる可能性があります。葉酸の1日の耐用上限量は18歳から29歳の女性で900μg、30歳から49歳の女性で1000μgです。これらの耐用上限量は合成型の葉酸であるプテロイルモノグルタミン酸に換算した数値になります。葉酸を過剰摂取した場合の症状とには以下のようなものが挙げられます。

・亜鉛の吸収率の低下

亜鉛は妊娠中においては胎児の細胞分裂に関わる栄養素です。葉酸の過剰摂取によって母体の亜鉛の吸収率が低下し、健全な発育が阻害される可能性があります。

・じんましん

葉酸を過剰摂取することで血行が促進され、じんましんを引き起こす場合があります。しばしば発熱を伴うことがあります。

・吐き気、食欲不振、不眠症

葉酸を過剰摂取することでこれらの妊娠中に現れやすい症状を悪化させてしまう可能性があります。

・小児ぜんそくのリスクを高める

妊娠後期に耐用上限量を超えた葉酸の摂取を続けてしまうと胎児のぜんそくリスクを25%高めてしまうというデータが存在しています。

葉酸の過剰摂取は母体だけではなく胎児にも影響を与える可能性があるため、サプリメントを利用する際は用量・用法をきちんと守るようにしましょう。かかりつけの婦人科がある場合、一度相談するとなお安心できます。

7:まとめ

葉酸のサプリメントには天然型のものと合成型のものが存在します。天然型のものは過剰摂取の危険が少ないですが、体内での有効利用率が低く、合成型のものは体内での有効利用率自体は高いですが適切にしようしないと過剰症の心配があります。それぞれのメリット・デメリットを把握したうえで医師や薬剤師、サプリメントアドバイザーなどのアドバイスに従って利用すると良いでしょう。