葉酸サプリは男性にも有効だった!専門家が教える妊活に必要な栄養素とは

妊活は女性だけが頑張るものと思っている方が、ほとんどではないでしょうか。実は男性が不妊の原因になっていることもあります。不妊原因の一つとして、染色体異常があります。実は男性が葉酸サプリも摂取することで、染色体異常が軽減されるようです。そこで今回は、男性が葉酸サプリを摂取するメリットを解説します。

1:男性にも葉酸サプリが必要なワケ?

妊娠には女性の卵子だけではなく男性の精子が必要になります。女性が葉酸を妊活中から十分に摂取することで、胎児の健康を向上させる効果はよく知られていますが、男性が妊活をする際に十分に葉酸を摂取することでも胎児の健康を向上させることができると考えられています。

葉酸の摂取量が低い男性の精子は先天性疾患や流産を引き起こす危険性が増すとカリフォルニア大学の研究者が指摘しています。人間の精子は23対の染色体を持っていますが葉酸の摂取量が少ないことにより染色体が少なかったり多かったりします。その場合、生まれてくる子どもにダウン症をはじめとする先天性疾患が生じる可能性が高くなってしまいます。

89人の健康的な男性を対象にしたカリフォルニア大学による分析で亜鉛、葉酸、ビタミンC、ビタミンE、βカロテンの日常的な摂取量についての統計データを計測しました。その結果、最も精子の異常率が少ない男性は葉酸を十分に摂取していることが判明しています[1]。まだまだ葉酸と精子の異常、活性についての研究は十分とは言えませんが、葉酸の十分な摂取が精子に対して良い影響を与えることが示唆されています。

2:葉酸は精子にどんな影響があるの?

男性が葉酸を摂取することで精子に対して良い影響を与えます。精子は「精粗細胞」という精子のもとになる細胞が細胞分裂をしていくことで作られます。タンパク質やDNA、RNAといった核酸を体内で合成するためには葉酸が重要な働きを果たします。葉酸はタンパク質やDNAを合成する際の補酵素として働き、精子を作るために必要になります。十分に葉酸を摂取することで精子をしっかりと作ることができます。健康な精子ならば先天性疾患のリスクを低下させることができます。

反対に葉酸の摂取量が少ないと細胞分裂がしっかり行えず、精子に染色体異常や数の減少が起こりやすくなります。染色体異常のある精子はダウン症などの先天性疾患を引き起こしやすくしてしまいます。また精子数が減少することにより妊娠しづらくなります。

3:妊活中に必要な男性の1日の葉酸摂取量

2015年に厚生労働省により発表された「日本人の食事摂取基準」では各年齢における男性の1日の葉酸の必要量は以下の通りになります。

(単位:μg/日)

  推定平均必要量 推奨量 耐用上限量
15-17歳 210 250 900
18-29歳 200 240 900
30-49歳 200 240 1000
50-69歳 200 240 1000
70歳 200 240 1000

女性の場合は妊活中や妊娠が疑われる場合、推奨量に+400μgの付加量が加わりますが男性の場合は付加量がありません。

葉酸は天然型の「ポリグルタミン酸型葉酸」と合成型の「プテロイルモノグルタミン酸」が存在します。天然型の葉酸はホウレン草やモロヘイヤ、動物のレバーなどの天然の食品に含有されている葉酸です。一方、合成型の葉酸は石油原料から化学的に合成されたり、酵母の発酵により製造されたりします。意外なようですが葉酸は天然型より合成型の方が効力が高いという特徴があります。天然型の葉酸は熱や胃酸により活性が失われ体内での有効利用率が50%程度であるのに対して、合成型の葉酸は体内での有効利用率が85%程度と考えられています。妊活中の女性に付加される+400μgの葉酸は合成型であるプテロイルモノグルタミン酸での摂取が推奨されています。一方で男性の場合は天然型と合成型に特に指定はありません。ただし耐用上限量に関しては合成型であるプテロイルモノグルタミン酸当量であることには注意をしましょう。

4:葉酸サプリの副作用とは

葉酸には耐用上限量が設定されています。耐用上限量とは「習慣的にその量を摂取して健康被害の危険がないであろう」数値です。しかし耐用上限量を超えて葉酸を摂取してしまうと過剰症が発生する場合があります。葉酸の過剰症には以下のようなものがあります。

・亜鉛の吸収率の低下

葉酸の過剰摂取が続くと腸管での亜鉛の吸収率を低下させる可能性があります。亜鉛は男性ホルモンや女性ホルモンといった性ホルモンの分泌に関わるミネラルです。葉酸の過剰摂取により性ホルモンの分泌量が低下し、妊娠しづらくなる可能性があります。また亜鉛は前立腺や精子中に多く含まれており、精巣で精子を作るためにも重要になる栄養素です。亜鉛の吸収率が低下すると精子が十分に作られなくなり精子数が減少したり、精子の活動性が低下したりして妊娠しづらくなってしまいます。

亜鉛は重要な栄養素ですが日本人の食生活の中では不足しがちなミネラルです。摂取量が少なく、吸収率が低いと妊娠にとって悪影響を与えるため葉酸の過剰摂取には注意をしましょう。

・葉酸過敏症の発症

葉酸を耐用上限量を超えての摂取が続くと葉酸過敏症を引き起こす場合があります。葉酸過敏症はじんましんや発熱、かゆみ、呼吸障害などの症状が認められます。そのほかむくみや吐き気、頭痛、食欲不振などの症状が現れることもあります。

5:男性に最適な葉酸サプリの選び方

妊活中の葉酸サプリメントには様々な製品が存在しています。その中でも男子に適した葉酸サプリのポイントを解説します。

・男性には天然?合成?どちらの葉酸がいいのか

再掲になりますが、男性に1日に必要な葉酸の摂取量は以下の表の数値になります。

(単位:μg/日)

  推定平均必要量 推奨量 耐用上限量
15-17歳 210 250 900
18-29歳 200 240 900
30-49歳 200 240 1000
50-69歳 200 240 1000
70歳 200 240 1000

男性の推定平均必要量と推奨量に関しては食事性(天然型)の葉酸での数値となっています。反対に耐用上限量に関しては合成型の数値となっています。天然型の葉酸は人体での有効利用率が50%ほどであるため、耐用上限量を天然型に換算したら2倍の量となります。男性の性機能や健康を維持するためには天然型の葉酸でも合成型の葉酸でもどちらでも問題がありません。しかし妊活中は男性よりも女性の葉酸摂取量の方が重要になるため、夫婦で合成型の葉酸サプリメントを服用するのが効率的でしょう。

・亜鉛が含有されていること

男性の精子の活性や数には亜鉛が大きな影響を与えます。亜鉛は食品で言えば牡蠣や牛肉、大豆加工食品などに多く含まれていますが、食事からの摂取にのみでは不足しがちです。2015年度に厚生労働省から発表された日本人の食事摂取基準によると男性の亜鉛の1日に摂取量は以下の数値になります。

(単位:mg/日)

  推定平均必要量 推奨量 耐用上限量
15-17歳 9 10
18-29歳 8 10 40
30-49歳 8 10 45
50-69歳 8 10 45
70歳 8 9 40

2015年度の国民健康・栄養調査の結果によると男性は平均して8.8mgの亜鉛を食事から摂取しています。推定平均必要量には足りていますが、推奨量には足りていません。また妊活中は射精をすることで体内から亜鉛が少なくなります。また精子を再合成する際にも必要になるため、不足しやすい傾向にあります。そのためサプリメントで補給することを考えると良いでしょう。

葉酸も亜鉛も精子の活性や染色体異常の予防に効果的な栄養素です。葉酸とともに亜鉛が含まれているサプリメントを選ぶと効果が高まるでしょう。

・セレンが含有されていること

セレンは必須ミネラルの一つで体内で強い抗酸化力を示します。活性酸素や過酸化脂質といった体内で有害な働きをする物質を無害にする働きをします。またセレンは男性の精巣や精子に多く含まれています。精子の中には酸化しやすい不飽和脂肪酸が含まれています。精子中の不飽和脂肪酸が酸化すると精子の奇形や運動性の低下につながるため、妊娠をしづらくなる可能性が高まります。セレンは精子の酸化を防ぎ、妊娠を助ける働きもしてくれます。セレンの1日に必要な摂取量は以下の数値になります。

(単位:μg/日)

  推定平均必要量 推奨量 耐用上限量
15-17歳 30 35 400
18-29歳 25 30 420
30-49歳 25 30 460
50-69歳 25 30 440
70歳 25 30 400

セレンはビタミンEと同じく推奨量と耐用上限量の差が大きい栄養素です。ただしセレンは耐用上限量を超えると毒性を発揮しやすくなるため過剰摂取には注意しましょう。

・ビタミンEが含有されていること

ビタミンEは必須ビタミンの一つで強い抗酸化作用を持つことが特徴です。ビタミンEは性ホルモンの代謝や分泌にも関わり生殖機能を高める作用もあります。ビタミンEを1日に200mg投与することによって精子数が10倍になったというデータも存在しているようです。男性の1日に必要なビタミンEの量は以下の数値になります。

(単位:mg/日)

  目安量 耐用上限量
15-17歳 7.5 750
18-29歳 6.5 800
30-49歳 6.5 900
50-69歳 6.5 850
70歳 6.5 750

ビタミンEは目安量と耐用上限量にとても差があることが特徴です。多少摂取が多くなっても問題がないため積極的に摂取することが重要です。毛細血管を拡張して体を温める作用があるため代謝機能が向上し、精巣をはじめとする内臓の調子をよくする効果も期待ができます。

6:男性が葉酸サプリを飲む効果的なタイミング

男性の精子は精巣でおよそ80日間で作られます。そのため葉酸サプリメントを飲むタイミングは夫婦生活を行う3か月ほどまえから服用し始めるのが効果的です。同時に上で紹介した亜鉛やビタミンEなどの精子の質を高める栄養素も摂取すると良いでしょう。

葉酸は細胞分裂をする際に必要になるため、精子を作り続ける限りは必要になる栄養素です。特定のタイミングだけで飲むのではなく継続することで精子の質の向上と安定につながります。

7:まとめ

葉酸はタンパク質やDNA、RNAを体内で合成する際に働くため男性の精子の製造にとって重要な栄養素です。妊活の際、女性だけではなく男性にも重要であるため推奨量をきちんと摂取するようにしましょう。女性の場合、葉酸は合成型の摂取を推奨されますが男性は天然型・合成型のどちらでも問題ありません。ただし女性と一緒に合成型の葉酸を摂取した方が効果的でしょう。